>> P.5
第36回・6年ぶりのクラウドファンディングミャンマーファミリー・クリニックと菜園の会(MFCG)代表理事・医師の名知仁子です。いつも応援をいただき心より感謝申し上げます。MFCGは、日本最大級のクラウドファンディングサイトREADYFORで「ミャンマーを決してあきらめない。“医療”と“菜園”で未来を創る」というプロジェクトを開始しました。https://readyfor.jp/projects/mfcg-support/このプロジェクトは、ミャンマーの未来を共に創るために、皆さんに新規サポートの仲間になっていただきたいという思いから立ち上げました。深刻化するミャンマーの状況先月号で、私たちの活動地であるエーヤワディ地域でも内戦が始まったことをお伝えしました。その影響は計り知れず、非常に困難な状況に陥っています。さらに、徴兵制の対象となる若者の招集が村レベルで徹底されています。ある村では、若者が10名しか住んでいないにもかかわらず、そのうち7名を徴兵に出さなければならないという厳しい現実に直面しています。若者の不足は、農業にも深刻な影響を及ぼしています。シャン州では最盛期のイチゴが収穫できず、生産量が著しく減少しています。エーヤワディ地域でも米の刈り入れができず、減反を余儀なくされている村がある状況です。このままではミャンマーの経済は立ち行かなくなり、破綻するのではないかと危惧しています。さらに、昨年9月に発生した洪水被害も追い打ちをかけています。国連食糧農業機関(FAO)は、洪水が米やトウモロコシなどの主要作物の生育や収穫期と重なったため、2024〜2025年の農作物生産量が約5%減少すると予測しています。この洪水に対し、MFCGは累計8,530,860Ksの支援を行いました。チャット安も深刻です。2024年8月までの8か月間で米ドルに対して約40%下落し、最安値を記録しました。また、2024年3月までの1年間で食品インフレ率は33.3%(前年は19.9%)に上昇し、国民の生活はますます圧迫されています。日本語を学ぶ若者たちとの出会いそんな中、日本語を学ぶミャンマーの若者たちと出会い、ヤンゴンで2名の若者に日本語を毎日教えることになりました。49日間、毎晩21:30〜22:30の勉強時間は決して楽なものではありません。それでも、彼らは「日本で農業を学び、技術を持ち帰りたい」日本のアニメ声優になりたい」などの夢を持ち、食堂で働きながら日本語能力試験(N4)の合格を目指しています。時には疲れ果てて、「体調が悪いのでお休みします」という連絡が来ることもありましたが、私は彼らの夢と希望を「日本人として応援したい」と思い、サポートしました。7月の試験までに「毎日何を学ぶのか」いつまでに何を終わらせるのか」というスケジュールもきちんと立て、私は活動地へ戻りました。私たちの最終的な目標は、「ミャンマー人が自立(自律)し、私たちの支援が不要になること」です。たとえ、すぐに進展が見えなくても前を向いて歩み続けます。なぜなら、「国の未来を創るのは夢を持った若者や子どもたち」だからです。ぜひ、皆さんも私たちの仲間になってください!引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。名知仁子()1963年生まれ。88年獨協医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院第一内科医局入局。2002年、国境なき医師団に入団し、同年タイ・メーソートの難民キャンプ、04年からはミャンマー・ラカイン州で医療支援に携わる。また、03年には外務省のODA団体、ジャパン・プラットフォームの要請で、イラク戦争で難民となったクルド人の医療支援に参加。08年には、サイクロンで被災したミャンマーのデルタ地域で緊急医療援助に参加する。同年、任意団体ミャンマークリニック菜園開設基金を設立し、12年6月にNPO法人ミャンマーファミリー・クリニックと菜園の会(現MFCG)設立し、現職。・菜園会https://mfcg.or.jp/Mar20255